NFTの交換を可能にするOpenSeaの新機能Dealsとは
本日の記事は、先日OpenSeaが発表したNFTの交換を可能にする新機能Dealsに関しての記事を書いていきます。概観や使い方、NFTマーケット全体の中での位置付けについても触れていければと思います。
https://twitter.com/opensea/status/1682077991029932032
OpenSeaについて
OpenSeaは、2017年に開設されたNFTのマーケットプレイスです。ユーザーは、NFTを購入、販売、発見することができます。
NFTの市場が盛り上がりをみせる前から設立されたマーケットプレイスなだけあってNFTを取引するとなった時に一番最初に想起されるマーケットプレイスの一つとして君臨しています。
NFTのバブルが崩壊してからユーザー数の減衰はみえますが、NFTのマーケットの中で大きな存在になっています。例えば、今ではよく聞くロイヤリティという概念もOpenSeaがデファクトスタンダードにしたものです。
以前、ロイヤリティに関する記事を書いておりますので、是非ご興味があれば読んでいただると嬉しいです。
また、少しトピックは変わりますが、OpenSeaにも搭載されているNFTの発行機能を使ってNFTを発行しないことを推奨する記事も書いています。NFTの参入を検討中の全ての事業者様に読んでいただきたい内容になっておりますので、こちらもおすすめです。
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Deals機能の概要
Dealsの機能は、ユーザーが自分のNFTを1つ以上提供し、他のユーザーのNFTと交換することができる機能です。また、オファーの一部としてWETH(Wrapped Ether)を含めることも選択できます。
取引を開始するためには、取引相手のウォレットアドレス、ENS名(Ethereum Name Serviceと呼ばれるアカウントに可読性のある名前をつけられるサービス)、またはOpenSeaのユーザー名が必要です。取引はオファーと同様に、取引を受け入れるユーザーがガス代を支払います。現時点では、取引のトランザクションにはOpenSeaの手数料やクリエイターの収益は含まれません。バッジ付きのコレクションからの NFTが取引に適用されます。
現状ではEthereumメインネットを対象としているサービスになります。
Dealsの使い方
プロフィールアイコンにマウスを合わせて「取引を作成」を選択します。
取引を行いたい人のユーザー名、ENS名、またはウォレットアドレスを入力します。
適用されているアイテムから取引で受け取りたいアイテムを選択し、「Next」をクリックします。(最大30アイテム)。
自分のNFTから取引で提案するアイテムを選択します。オプションで取引の一部としてWETHを追加できます。選択したら「Next」をクリックします。
提案した取引を確認し、「取引を送信」をクリックします。トランザクションを署名する前にコレクションを承認するように求められる場合があります。
プロフィールの「取引」タブでアクティブな取引をすべて確認できます。このタブから提案した取引をキャンセルすることもできますが、ガス料が必要になります
NFTマーケットの中での位置付け
主要なNFTの取引の多くは、OpenSeaやBlur、LooksRareのようなマーケットプレイスでの売買が中心にありました。マーケットプレイスは、オープンなマーケットで不特定のユーザーに対して売り買いを行うことができます。一方で今回のDealsは特定の個人に対して取引を行うというクローズな取引が行うことができるサービスになります。
上記の2つの取引方法以外にNFT AMMというものがあります。NFT AMM(Auto Market Maker)は、あらかじめ作成された特定のコレクションのプールにNFTを投げることでFT(WETHやUSDCのようなトークン)を受け取り、FTをそのプールに投げることでNFTを受け取ることができます。
つまり、以下のような関係にあることがわかります。
NFTをプールに投げ、FTを受け取る → NFTを売却する
FTをプールに投げ、NFTを受け取る → NFTを購入する
プール自体は取引主体とは別でアセット提供者がNFTとFTをセットあるいはNFT / FTを単独で提供します。プールへのアセットの提供者は、上記の売買が発生した際の手数料を報酬を受け取ることができます。NFT AMMはプールと取引をしていることになるので即時で売買することができ、通常のマーケットプレイスにおける売買が成立までのリードタイムを短くすることができます。
代表的なNFT AMMにSudoswapがありますが、Sudoswapが以前提供していたSudoswap otcは今回の交換機能に近いものでした。(現在はサポートを終了しています。)
AMMは元々UniswapのようなFT同士のSwapを行うプロトコルに実装されていました。NFT AMMは同一のコレクションをセミファンジブル的に取り扱うことで価格調整などをプロトコル自身に行わせることができています。
今回のDealsは、AMMとは逆で特定のNFTを交換するために自分で条件を提示して取引を行うため、よりNFTたらしめるための機能になります。今後、NFTがより非代替的なアセットになっていくとDealsの利用は増えるかと筆者は考えます。
また、取引相手が特定できている場合、トラストレスにNFTの交換を行うことができることも特徴なので、ユーザー間コミュニケーションがより行いやすくなるとDealsの利用ケースが増えるかもしれません。
おわりに
先日発表されたOpenSeaの新機能Dealsについて書きました。特定のNFTをNFTやFTと交換することができる機能で、新しい取引モデルと注目されます。
また、マーケットプレイスとAMM、Dealsと現状のNFTの取引モデルとして一般的になっているものと比較しました。これまでの取引モデルよりもクローズで、物々交換に近いためNFTをNFTで買えるかもしれないというところは新しい点になります。
使い方もそこまで難しくないので是非一度Dealsを使って取引をしてみてください。