a16z cryptoの最新レポートから読み解くAI×CRYPTOの関係と最新事例について
a16z cryptoが2024年10月に出した最新のレポートでは、2024年9月時点で1回以上取引のあるウォレットアドレスは2億2000万を突破し、2023年度末から3倍以上増加している記載されていました。
また、ウォレットアドレスのような簡単に増やせる数字ではなく、a16z cryptoが独自に推定した月間のアクティブユーザーを、3000万〜6000万人と公表しています。
そんな興味深い情報が詰まったレポートの中で、CRYPTOとAIについて触れている部分がありました。
AIはテクノロジー全般だけでなく、CRYPTOの分野でもホットなトレンドなので、本記事では、AI×CRYPTOの関係と最新事例について解説していきます。
今回の記事は、以下のような構成で進めていきます。
1. a16z cryptoのAIに関する言及について
(1)AIとCRYPTOユーザーの関係
2. AIとCRYPTOを掛け合わせた事例の紹介
(1)a16z Cryptoが出資する分散型AIインフラOpenGradientについて
(1)Virtuals Protocolによる分散所有可能なAIエージェントについて
3.まとめ
1. a16z cryptoのAIに関する言及について
(1)AIとCRYPTOユーザーの関係
a16z cryptoのレポートでは、OpenAIが提供する生成AIが使用できるwebサイトのchatgpt.comを訪問するユーザーの多くが、以下のCRYPTOに関連するwebサイトを訪れていることが示されています。
①etherscan.io:Ethereumのブロックチェーンエクスプローラー
②binance.com:最大手の暗号資産取引所
③opensea.io:最大手のNFTマーケットプレイス
④coinmarketcap.com:最大手の暗号資産の価格追跡サイト
⑤coinbase.com:最大手の暗号資産取引所
これらのCRYPTOに関連するwebサイトよりも訪問されていたものは、音声生成AIツールのelevenlabs.ioとudio.comの2つのみであり、どちらもAIに関連したwebサイトです。
このことから、AIとAI以外のジャンルでの組み合わせを考える際に、CRYPTOは有力な候補になる可能性が高いと思われます。
また、a16z cryptoが公表しているデータによると、開発者の約3分の1がAIを活用しており、ブロックチェーンインフラストラクチャーを標榜するプロジェクトで使われているケースが多く見られます。
次章では、CRYPTOとAIを掛け合わせた最新の事例について紹介します。
2. AIとCRYPTOを掛け合わせた事例の紹介
(1)a16z Cryptoが出資する分散型AIインフラOpenGradientについて
OpenGradientは、分散型のAIインフラストラクチャの提供を目指しているプロジェクトで、a16z Cryptoなどの投資から、約13億円($8.5M)を資金調達しているプロジェクトです。
OpenGradientは、以下のサービスのリリースを予定しています。
①OpenGradient Network
EVM互換のブロックチェーンネットワークで、開発者がAIモデルの推論処理をホストまたは実行したり、アプリケーションを展開したり、AIエージェントを稼働可能です。
②分散型モデルホスティング
分散型のファイルストアインフラストラクチャを活用して、誰でも許可を必要とせずに任意のモデルにアクセス、アップロード、ダウンロードでき、これらのモデルを即座にOpenGradient NetworkやSDK上で利用できる環境を提供します。
③Model Hub
分散型モデルホスティングのインターフェースとして機能するWebプラットフォームで、ユーザーはOpenGradientのインフラストラクチャを通じて様々なモデルをアップロード、閲覧、試せます。将来的にはエージェントのホスティングやデプロイも可能になる予定です。
④OpenGradient Research
クライアント向けにカスタマイズされたAIオラクル、AIアプリケーションを開発する社内研究チームです。このチームは、多くの研究成果をオープンソース化して、普遍的なAIモデリングの基盤やWeb3の公共財の創出を目指します。
OpenGradient Researchは、実際に動き出しており、分散型AIを使ってWETH/USDTのAMMプールの手数料を予測できるSDKを提供しています。このSDKを使用することで、LPの収益性を向上できます。
このようなブロックチェーンインフラストラクチャー、DeFiとAIを組み合わせたプロジェクトもあれば、次章のようなエンターテインメント分野と組み合わせたプロジェクトも産まれています。
(2)Virtuals Protocolによる分散所有可能なAIエージェントについて
Virtuals Protocolは、エンターテインメント分野における、AI Grirl LunaのようなAIエージェントの共同所有レイヤーを構築する革新的なプロジェクトです。AIエージェントは、以下の機能を有しています。
①自律性:計画、学び、決断を自律的に行う。
②マルチモーダル性:テキスト、音声、3Dアニメーションを通じてコミュニケーションが可能。
③環境相互作用:Robloxなどのゲームで剣を拾ったり、TikTokでギフトを集めたりするなど、様々な環境と相互作用できる。
④オンチェーンウォレットの使用:ブロックチェーン上の取引が可能。
⑤クロスプラットフォーム機能:複数のプラットフォーム(Roblox、Telegramゲームなど)にまたがって存在し、記憶を維持できる。
これらの機能を有するAIエージェントには、それぞれ独自のトークンが結び付けられており、そのトークンを購入することで、AIエージェントを間接的に共同所有できます。トークンは、AIエージェントを活用したアプリケーションで、ユーザーがアプリ内課金やサブスクリプションする際に使用されます。
すなわち、AIエージェントを用いたアプリケーションが使用されることで、AIエージェントのトークンの需要が増え、時価総額が上昇するという仕組みになっています。
Lunaの独自トークンである$LUNAは、総供給量10億のトークンです。現時点での価格は0.149$で、FDV約1.5億ドルまで到達しています。
また、$LUNAの保有者(ウォレット)は4,648で、Lunaのウォレットに存在する$LUNAは17,761トークン、ドル建てで2,008ドルもの資産をAIエージェントが保有しています。
時系列で見ると、直近の2024年10月27日に史上最高値の0.242$を記録しており、ローンチから右肩上がりで価格が上昇しています。
3.まとめ
今回は、a16z cryptoが発表したレポートを紐解くことで、AIユーザーがCRYPTOに相対的に強い興味を抱いていることが分かりました。ブロックチェーンという非中央集権的な仕組みを用いることで、中央集権的なAIの弱点を補うことを期待されているようにも思えました。
最新事例で紹介した分散型AIインフラや分散所有が可能なAIエージェントといった取り組みは、大手IT企業によるAIの独占ではなく、AIの民主化といったナラティブの創出を予感させます。
今後も、AI×CRYPTOの事例についてはリサーチしていきますので、ぜひ興味があればご一読くださいませ。
執筆者:こにちゃん
最後まで読んでいただきありがとうございました。